少し考えてみましょう


高等学校と知的特別支援学校高等部の違いについて!


 

 特別支援学校高等部を卒業すると高卒資格と大学入学資格がもらえるのでしょうか?  みなさんはどのように思われますか?

 

文科省のホームページには以下の内容の記載がある。

              (http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shikaku/07111314.htm)

トップ > 教育 > 大学・短大・専門教育に関すること > 大学・大学院入学資格について > 大学入学資格について)

大学入学資格について

 大学(短期大学を含む。大学院を除く)の入学資格は以下のいずれかに該当する方に認められます。

  •  高等学校又は中等教育学校を卒業した者(法第90条第1項)
  •  特別支援学校の高等部又は高等専門学校の3年次を修了した者(法第90条第1項)
  •  外国において、学校教育における12年の課程を修了した者(12年未満の課程の場合は、さらに指定された準備教育課程(文部科学大臣指定準備教育課程一覧)又は研修施設(文部科学大臣指定研修施設一覧)の課程等を修了する必要がある。)(施行規則第150条第1号、昭和56年文部省告示第153号第2号)
  •  外国における、12年の課程修了相当の学力認定試験に合格した者(12年未満の課程の場合は、さらに指定された準備教育課程(文部科学大臣指定準備教育課程一覧)又は研修施設(文部科学大臣指定研修施設一覧)の課程等を修了する必要がある。)(昭和56年文部省告示第153号第1号、第2号)
  •  我が国において、外国の高等学校相当として指定した外国人学校(我が国において、高等学校相当として指定した外国人学校一覧)を修了した者(12年未満の課程の場合は、さらに指定された準備教育課程(文部科学大臣指定準備教育課程一覧)又は研修施設(文部科学大臣指定研修施設一覧)の課程等を修了する必要がある。)(昭和56年文部省告示第153号第3号、第4号)
  •  高等学校と同等と認定された在外教育施設(文部科学大臣認定等在外教育施設(高等部を設置するもの)一覧)の課程を修了した者(施行規則第150条第2号)
  •  指定された専修学校の高等課程(文部科学大臣指定専修学校高等課程一覧)を修了した者(施行規則第150条第3号)
  •  旧制学校等を修了した者(昭和23年文部省告示第47号第1号〜第192号)
  •  国際バカロレア、アビトゥア、バカロレアなど、外国の大学入学資格の保有者(昭和23年文部省告示第47号第20号〜第22号)
  •  国際的な評価団体(WASCCISACSI)の認定を受けた外国人学校(国際的な評価団体認定外国人学校一覧)の12年の課程を修了した者(昭和23年文部省告示第47号第23号)
    CISの旧名称であるECISの認定を受けた外国人学校の12年の課程を修了したものについても入学資格が認められます。
  •  高等学校卒業程度認定試験(旧大検)に合格した者(施行規則第150条第5号)
  •  大学において個別の入学資格審査により認めた者(施行規則第150条第7号)

法:学校教育法 施行規則:学校教育法施行規則

お問い合わせ先

高等教育局大学振興課

(高等教育局大学振興課)

 

  •  特別支援学校の高等部又は高等専門学校の3年次を修了した者(法第90条第1項)

                                   

     この内容はどうみても特別支援学校の高等部を卒業したら大学入学資格が取れると解釈できる。

 

    次に根拠法の学校教育法(法第90条第1項)を調べてみる。

 

   この条文は次のような内容である。

 

第九十条  大学に入学することのできる者は、高等学校若しくは中等教育学校を卒業した者若しくは通常の課程による十二年の学校教育を修了した者(通常の課程以外の課程によりこれに相当する学校教育を修了した者を含む。)又は文部科学大臣の定めるところにより、これと同等以上の学力があると認められた者とする。

                      ↓

   この条文は曖昧だが特別支援学校高等部卒業者に大学入学資格がないとは書いていないと思われる。

以上のことから文科省も学校教育法第九十条 の内容からみても特別支援学校高等部の卒業生は高卒資格と同時に大学入学資格が得られると考えられる。

 

しかし実際には特別支援学校高等部、特に知的特別支援学校高等部の卒業生には高卒資格と共に大学入学資格がないのが現実である。

なぜもらえないのか、生徒や保護者のみなさんと一緒に考えてみたいと思います。また高卒資格=大学入学資格がもらえないとしても大学・専門学校等の進学を決してあきらめる必要はありません知的特別支援学校高等部は学校教育法施行規則や学習指導要領を根拠に「内の学校では職業教育が中心で進学や教科学習に費やす時間もないし、そんな進路指導は行っていない」と言われると思います。この指導要領が最初に作られたのが1963(昭和38)であり、この頃デンマークではバンク=ミケルセンが「ノーマライゼーション」を唱え、米国ではIL運動が、81年には国際障害者年、国連・障害者の10年、ADA法制定、また日本でも障害者基本法の改正や障害者の権利条約の批准だと言っているのにその内容は以前のままである。今も法律解釈がそうであっても特別支援教育の目的は一人ひとりのニーズに合った指導の充実を図ることになっています。だから個別の学習指導計画や個別の教育支援計画を作成するのです。個別のニーズにあった教育であるべきです。

私は、生徒のみなさんの将来の進路選択も広がり、希望や夢をたくさん持てること

を願っていますし、生徒のみなさんの「最善の利益を守りたい」と考えています。

それではどんな方法があるのか考えてみます。

 

 

それではなぜ知的特別支援学校高等部の卒業生には大学入学資格がないのかを教育制度論から考えていくことにする。

 

 ⑴教育制度の基本原理について

 

 憲法における教育制度の基本原理

 

第二十六条  すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。

 すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を 受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。

 

  特色として

       ①すべての国民の教育を受ける権利

     ②教育制度の法律主義

     ③能力に応じた教育

     ④無差別平等の教育

     ⑤親が子に普通教育を受けさせる義務

     ⑥義務教育の無償

                

   現代教育制度の基本原理

     

     現代の教育制度は、すべての者の学習権の保障のためにある。つまり、現代の教育制度は

     「すべての者に」、「人間的な生きる力を増し強める教育を」、「生涯にわたって」保障する

     ためにある。

 

 憲法上の解釈で一番気になるのが③の能力に応じた教育の能力とは何を意味するかである。

 

  私の解釈としては6歳児には6歳児の、12歳児には12歳児の、その年齢にふさわしい教育を受ける権利があると考える。例として6歳児が大学教育は受けることはできない等

  18歳には18歳の年齢にふさわしい教育、例えば大学や専門学校での教育が受けられるということ、

  それが能力に応じた教育と考える。

 

 憲法26条の基本原理に沿って制定された教育基本法を見てみる

 

以下、教育基本法全文

 

教育基本法
(平成十八年十二月二十二日法律第百二十号)
 教育基本法(昭和二十二年法律第二十五号)の全部を改正する。我々日本国民は、たゆまぬ努力によって築いてきた民主的で文化的な国家を更に発展させるとともに、世界の平和と人類の福祉の向上に貢献することを願うものである。我々は、この理想を実現するため、個人の尊厳を重んじ、真理と正義を希求し、公共の精神を尊び、豊かな人間性と創造性を備えた人間の育成を期するとともに、伝統を継承し、新しい文化の創造を目指す教育を推進する。ここに、我々は、日本国憲法の精神にのっとり、我が国の未来を切り拓く教育の基本を確立し、その振興を図るため、この法律を制定する。
前文

   第一章 教育の目的及び理念

(教育の目的)

第一条  教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。

(教育の目標)

第二条  教育は、その目的を実現するため、学問の自由を尊重しつつ、次に掲げる目標を達成するよう行われるものとする。

 幅広い知識と教養を身に付け、真理を求める態度を養い、豊かな情操と道徳心を培うとともに、健やかな身体を養うこと。

 個人の価値を尊重して、その能力を伸ばし、創造性を培い、自主及び自律の精神を養うとともに、職業及び生活との関連を重視し、勤労を重んずる態度を養うこと。

 正義と責任、男女の平等、自他の敬愛と協力を重んずるとともに、公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと。

 生命を尊び、自然を大切にし、環境の保全に寄与する態度を養うこと。

 伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。

(生涯学習の理念)

第三条  国民一人一人が、自己の人格を磨き、豊かな人生を送ることができるよう、その生涯にわたって、あらゆる機会に、あらゆる場所において学習することができ、その成果を適切に生かすことのできる社会の実現が図られなければならない。

(教育の機会均等)

第四条  すべて国民は、ひとしく、その能力に応じた教育を受ける機会を与えられなければならず、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない。

 国及び地方公共団体は、障害のある者が、その障害の状態に応じ、十分な教育を受けられるよう、教育上必要な支援を講じなければならない。  今回の改正で新しく設けられた

 国及び地方公共団体は、能力があるにもかかわらず、経済的理由によって修学が困難な者に対して、奨学の措置を講じなければならない。

   第二章 教育の実施に関する基本

(義務教育)

第五条  国民は、その保護する子に、別に法律で定めるところにより、普通教育を受けさせる義務を負う。

 義務教育として行われる普通教育は、各個人の有する能力を伸ばしつつ社会において自立的に生きる基礎を培い、また、国家及び社会の形成者として必要とされる基本的な資質を養うことを目的として行われるものとする。

 国及び地方公共団体は、義務教育の機会を保障し、その水準を確保するため、適切な役割分担及び相互の協力の下、その実施に責任を負う。

 国又は地方公共団体の設置する学校における義務教育については、授業料を徴収しない。

(学校教育)

第六条  法律に定める学校は、公の性質を有するものであって、国、地方公共団体及び法律に定める法人のみが、これを設置することができる。

 前項の学校においては、教育の目標が達成されるよう、教育を受ける者の心身の発達に応じて、体系的な教育が組織的に行われなければならない。この場合において、教育を受ける者が、学校生活を営む上で必要な規律を重んずるとともに、自ら進んで学習に取り組む意欲を高めることを重視して行われなければならない。

(大学)

第七条  大学は、学術の中心として、高い教養と専門的能力を培うとともに、深く真理を探究して新たな知見を創造し、これらの成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与するものとする。

 大学については、自主性、自律性その他の大学における教育及び研究の特性が尊重されなければならない。

(私立学校)

第八条  私立学校の有する公の性質及び学校教育において果たす重要な役割にかんがみ、国及び地方公共団体は、その自主性を尊重しつつ、助成その他の適当な方法によって私立学校教育の振興に努めなければならない。

(教員)

第九条  法律に定める学校の教員は、自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励み、その職責の遂行に努めなければならない。

 前項の教員については、その使命と職責の重要性にかんがみ、その身分は尊重され、待遇の適正が期せられるとともに、養成と研修の充実が図られなければならない。

(家庭教育)

第十条  父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであって、生活のために必要な習慣を身に付けさせるとともに、自立心を育成し、心身の調和のとれた発達を図るよう努めるものとする。

 国及び地方公共団体は、家庭教育の自主性を尊重しつつ、保護者に対する学習の機会及び情報の提供その他の家庭教育を支援するために必要な施策を講ずるよう努めなければならない。

(幼児期の教育)

第十一条  幼児期の教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであることにかんがみ、国及び地方公共団体は、幼児の健やかな成長に資する良好な環境の整備その他適当な方法によって、その振興に努めなければならない。

(社会教育)

第十二条  個人の要望や社会の要請にこたえ、社会において行われる教育は、国及び地方公共団体によって奨励されなければならない。

 国及び地方公共団体は、図書館、博物館、公民館その他の社会教育施設の設置、学校の施設の利用、学習の機会及び情報の提供その他の適当な方法によって社会教育の振興に努めなければならない。

(学校、家庭及び地域住民等の相互の連携協力)

第十三条  学校、家庭及び地域住民その他の関係者は、教育におけるそれぞれの役割と責任を自覚するとともに、相互の連携及び協力に努めるものとする。

(政治教育)

第十四条  良識ある公民として必要な政治的教養は、教育上尊重されなければならない。

 法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。

(宗教教育)

第十五条  宗教に関する寛容の態度、宗教に関する一般的な教養及び宗教の社会生活における地位は、教育上尊重されなければならない。

 国及び地方公共団体が設置する学校は、特定の宗教のための宗教教育その他宗教的活動をしてはならない。

   第三章 教育行政

(教育行政)

第十六条  教育は、不当な支配に服することなく、この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきものであり、教育行政は、国と地方公共団体との適切な役割分担及び相互の協力の下、公正かつ適正に行われなければならない。

 国は、全国的な教育の機会均等と教育水準の維持向上を図るため、教育に関する施策を総合的に策定し、実施しなければならない。

 地方公共団体は、その地域における教育の振興を図るため、その実情に応じた教育に関する施策を策定し、実施しなければならない。

 国及び地方公共団体は、教育が円滑かつ継続的に実施されるよう、必要な財政上の措置を講じなければならない。

(教育振興基本計画)

第十七条  政府は、教育の振興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、教育の振興に関する施策についての基本的な方針及び講ずべき施策その他必要な事項について、基本的な計画を定め、これを国会に報告するとともに、公表しなければならない。

 地方公共団体は、前項の計画を参酌し、その地域の実情に応じ、当該地方公共団体における教育の振興のための施策に関する基本的な計画を定めるよう努めなければならない。

   第四章 法令の制定

第十八条  この法律に規定する諸条項を実施するため、必要な法令が制定されなければならない。


   附 則 抄

(施行期日)

 この法律は、公布の日から施行する。

以上、教育基本法全文

 

 第4条の1のその能力に応じとは、「その年齢にふさわしい教育」を意味すると考える。

     2の項は特別支援教育を推進する上で最も基本となる考え方、国及び地方公共団体の役割が明記されている。「その障害の状態に応じ、十分な教育を受けられるよう」とは、一人一人がその必要とする教育が十分に受けれると解釈できる。

  

ここまでは障害者である者も、障害者でない者もその能力によって教育がうけられると解釈できる。

 

次に特別支援教育に関する学校教育法の学校の目的から見てみる。

以下学校教育法

 

第三章 幼稚園

第二十二条  幼稚園は、義務教育及びその後の教育の基礎を培うものとして、幼児を保育し、幼児の健やかな成長のために適当な環境を与えて、その心身の発達を助長することを目的とする。

   普通教育という文言がない

 

第四章 小学校

第二十九条  小学校は、心身の発達に応じて、義務教育として行われる普通教育のうち基礎的なものを施すことを目的とする。

 

 第五章 中学校

第四十五条  中学校は、小学校における教育の基礎の上に、心身の発達に応じて、義務教育として行われる普通教育を施すことを目的とする。

 

第六章 高等学校

第五十条  高等学校は、中学校における教育の基礎の上に、心身の発達及び進路に応じて、高度な普通教育専門教育を施すことを目的とする。

第五十七条  高等学校に入学することのできる者は、中学校若しくはこれに準ずる学校を卒業した者若しくは中等教育学校の前期課程を修了した者又は文部科学大臣の定めるところにより、これと同等以上の学力があると認められた者とする。

 

第八章 特別支援教育

第七十二条  特別支援学校は、視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、肢体不自由者又は病弱者(身体虚弱者を含む。以下同じ。)に対して、幼稚園、小学校、中学校又は高等学校に準ずる教育を施すとともに、障害による学習上又は生活上の困難を克服し自立を図るために必要な知識技能を授けることを目的とする。

普通教育という文言がない

 

第七十三条  特別支援学校においては、文部科学大臣の定めるところにより、前条に規定する者に対する教育のうち当該学校が行うものを明らかにするものとする。

第七十四条  特別支援学校においては、第七十二条に規定する目的を実現するための教育を行うほか、幼稚園、小学校、中学校、高等学校又は中等教育学校の要請に応じて、第八十一条第一項に規定する幼児、児童又は生徒の教育に関し必要な助言又は援助を行うよう努めるものとする。  センター的機能についての規定

第七十五条  第七十二条に規定する視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、肢体不自由者又は病弱者の障害の程度は、政令で定める。 →これを受けてさらに具体化し学校教育法施行規則第22条の3においてそれぞれの障害の程度が示されている。

 

第七十六条  特別支援学校には、小学部及び中学部を置かなければならない。ただし、特別の必要のある場合においては、そのいずれかのみを置くことができる。

 特別支援学校には、小学部及び中学部のほか、幼稚部又は高等部を置くことができ、また、特別の必要のある場合においては、前項の規定にかかわらず、小学部及び中学部を置かないで幼稚部又は高等部のみを置くことができる。

第七十七条  特別支援学校の幼稚部の教育課程その他の保育内容、小学部及び中学部の教育課程又は高等部の学科及び教育課程に関する事項は、幼稚園、小学校、中学校又は高等学校に準じて、文部科学大臣が定める。

第七十八条  特別支援学校には、寄宿舎を設けなければならない。ただし、特別の事情のあるときは、これを設けないことができる。

第七十九条  寄宿舎を設ける特別支援学校には、寄宿舎指導員を置かなければならない。

 寄宿舎指導員は、寄宿舎における幼児、児童又は生徒の日常生活上の世話及び生活指導に従事する。

第八十条  都道府県は、その区域内にある学齢児童及び学齢生徒のうち、視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、肢体不自由者又は病弱者で、その障害が第七十五条の政令で定める程度のものを就学させるに必要な特別支援学校を設置しなければならない。

第八十一条  幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び中等教育学校においては、次項各号のいずれかに該当する幼児、児童及び生徒その他教育上特別の支援を必要とする幼児、児童及び生徒に対し、文部科学大臣の定めるところにより、障害による学習上又は生活上の困難を克服するための教育を行うものとする。

 小学校、中学校、高等学校及び中等教育学校には、次の各号のいずれかに該当する児童及び生徒のために、特別支援学級を置くことができる。

 知的障害者

 肢体不自由者

 身体虚弱者

 弱視者

 難聴者

 その他障害のある者で、特別支援学級において教育を行うことが適当なもの 言語障害、自閉症・情緒障害の児童生徒を指す。

 

 前項に規定する学校においては、疾病により療養中の児童及び生徒に対して、特別支援学級を設け、又は教員を派遣して、教育を行うことができる。

第八十二条  第二十六条、第二十七条、第三十一条(第四十九条及び第六十二条において読み替えて準用する場合を含む。)、第三十二条、第三十四条(第四十九条及び第六十二条において準用する場合を含む。)、第三十六条、第三十七条(第二十八条、第四十九条及び第六十二条において準用する場合を含む。)、第四十二条から第四十四条まで、第四十七条及び第五十六条から第六十条までの規定は特別支援学校に、第八十四条の規定は特別支援学校の高等部に、それぞれ準用する。

 

第九章 大学

第八十三条  大学は、学術の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させることを目的とする。

第九十条  大学に入学することのできる者は、高等学校若しくは中等教育学校を卒業した者若しくは通常の課程による十二年の学校教育を修了した者(通常の課程以外の課程によりこれに相当する学校教育を修了した者を含む。)又は文部科学大臣の定めるところにより、これと同等以上の学力があると認められた者とする。

 

第十章 高等専門学校

第百十五条  高等専門学校は、深く専門の学芸を教授し、職業に必要な能力を育成することを目的とする。

 高等専門学校は、その目的を実現するための教育を行い、その成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与するものとする。

以上、学校教育法から抜粋

 

 

 

この辺から何か変わってくるように思える。普通教育とは何を指しているのか

 

 ⑴ 特別支援学校の目的から見てみる

 

第七十二条  特別支援学校は、視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、肢体不自由者又は病弱者(身体虚弱者を含む。以下同じ。)に対して、幼稚園、小学校、中学校又は高等学校に準ずる教育を施すとともに、障害による学習上又は生活上の困難を克服し自立を図るために必要な知識技能を授けることを目的とする。

   

 以上から分かったことは幼稚園と特別支援学校の目的に普通教育を施すという文言がない。しかし、幼稚園、小学校、中学校又は高等学校に準ずる教育を施すというのだから文言がなくても準ずるのだから普通教育を施すことになるのかどうか

 

  障害による学習上又は生活上の困難を克服し自立を図るために必要な知識技能を授けることを目的とは

 

ここで障害による学習上又は生活上の困難を克服し自立を図るために必要な知識技能を授けることを目的とする。といった新しい文言がでてきた。この目的を達成するために「自立活動」という特別の指導領域が設けられている。

       

  自立活動の目標と内容については特別支援学校小学部・中学部学習指導要領や特別支援学校高等部学習指導要領に詳しく次のように示されている。

 

     第7章 自立活動 (特別支援学校高等部学習指導要領から)

 

第1 目標

個々の生徒が自立を目指し,障害による学習上又は生活上の困難を主体的に改善・克服するため

に必要な知識,技能,態度及び習慣を養い,もって心身の調和的発達の基盤を培う。

 

  

 第2 内容

 

健康の保持

(1) 生活のリズムや生活習慣の形成に関すること。

(2) 病気の状態の理解と生活管理に関すること。

(3) 身体各部の状態の理解と養護に関すること。

(4) 健康状態の維持・改善に関すること。

心理的な安定

(1) 情緒の安定に関すること。

(2) 状況の理解と変化への対応に関すること。

(3) 障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服する意欲に関すること。

人間関係の形成

(1) 他者とのかかわりの基礎に関すること。

(2) 他者の意図や感情の理解に関すること。

(3) 自己の理解と行動の調整に関すること。

(4) 集団への参加の基礎に関すること。

環境の把握

(1) 保有する感覚の活用に関すること。

(2) 感覚や認知の特性への対応に関すること。

(3) 感覚の補助及び代行手段の活用に関すること。

(4) 感覚を総合的に活用した周囲の状況の把握に関すること。

(5) 認知や行動の手掛かりとなる概念の形成に関すること。

身体の動き

(1) 姿勢と運動・動作の基本的技能に関すること。

(2) 姿勢保持と運動・動作の補助的手段の活用に関すること。

(3) 日常生活に必要な基本動作に関すること。

(4) 身体の移動能力に関すること。

(5) 作業に必要な動作と円滑な遂行に関すること。

コミュニケーション

(1) コミュニケーションの基礎的能力に関すること。

(2) 言語の受容と表出に関すること。

(3) 言語の形成と活用に関すること。

(4) コミュニケーション手段の選択と活用に関すること。

(5) 状況に応じたコミュニケーションに関すること。

    

A 目的からは特別支援学校の特徴とも言える「自立活動」という文言がでてきた。このことと大学入学資格が関係をしているかを考えねばならない?

 

 ⑵ 学校教育法でいう特別支援学校における教育課程等から

 

学校教育法

 

第七十七条  特別支援学校の幼稚部の教育課程その他の保育内容、小学部及び中学部の教育課程又は高等部の学科及び教育課程に関する事項は、幼稚園、小学校、中学校又は高等学校に準じて、文部科学大臣が定める。

 

   それに基づき教育課程等を定めたのが学校教育法施行規則でありそこで高等部の学科及び教育課程は次のように示されている。

学校教育法施行規則

 

第百二十八条  特別支援学校の高等部の教育課程は、別表第三及び別表第五に定める各教科に属する科目(知的障害者である生徒を教育する場合は国語、社会、数学、理科、音楽、美術、保健体育、職業、家庭、外国語、情報、家政、農業、工業及び流通・サービスの各教科並びに第百二十九条に規定する特別支援学校高等部学習指導要領で定めるこれら以外の教科とする。)、特別活動(知的障害者である生徒を教育する場合は、道徳及び特別活動とする。)、自立活動及び総合的な学習の時間によって編成するものとする。

 

第百二十九条  特別支援学校の幼稚部の教育課程その他の保育内容並びに小学部、中学部及び高等部の教育課程については、この章に定めるもののほか、教育課程その他の保育内容又は教育課程の基準として文部科学大臣が別に公示する特別支援学校幼稚部教育要領、特別支援学校小学部・中学部学習指導要領及び特別支援学校高等部学習指導要領によるものとする。

  

 ここで「知的障害者である生徒を教育する場合」とカッコ書きの文章がでてくる。

 

 学校教育法第七十二条 でいう 障害種別ごとの特別支援学校【視覚障害者特別支援学校、聴覚障害者特別支援学校、肢体不自由者特別支援学校、病弱者(身体虚弱者)特別支援学校】の生徒で知的障害でない生徒が別表第三及び別表第五に定める各教科に属する科目、特別活動、自立活動及び総合的な学習の時間によって編成される。

 

 

別表第三学校教育法施行規則 第八十三条,第百八条,第百二十八条関係)

(一) 各学科に共通する各教科=高等学校でいう高度な普通教育を指す

各教科各教科に属する科目

国語   国語総合,国語表現,現代文A,現代文B,古典A,古典B

地理歴史 世界史A,世界史B,日本史A,日本史B,地理A,地理B

公民   現代社会,倫理,政治・経済

数学   数学Ⅰ,数学Ⅱ,数学Ⅲ,数学A,数学B,数学活用

理科   科学と人間生活,物理基礎,物理,化学基礎,化学,生物基礎,生

物,地学基礎,地学,理科課題研究

保健体育 体育,保健

芸術   音楽Ⅰ,音楽Ⅱ,音楽Ⅲ,美術Ⅰ,美術Ⅱ,美術Ⅲ,工芸Ⅰ,工芸

Ⅱ,工芸Ⅲ,書道Ⅰ,書道Ⅱ,書道Ⅲ

外国語  コミュニケーション英語基礎,コミュニケーション英語Ⅰ,コミュ

ニケーション英語Ⅱ,コミュニケーション英語Ⅲ,英語表現Ⅰ,英

語表現Ⅱ,英語会話

家庭 家庭基礎,家庭総合,生活デザイン

情報 社会と情報,情報の科学

(二) 主として専門学科において開設される各教科=高等学校でいう専門教育を指す

各教科各教科に属する科目

農業 農業と環境,課題研究,総合実習,農業情報処理,作物,野菜,果

樹,草花,畜産,農業経営,農業機械,食品製造,食品化学,微生

農業物利用,植物バイオテクノロジー,動物バイオテクノロジー,農業

経済,食品流通,森林科学,森林経営,林産物利用,農業土木設計,

農業土木施工,水循環,造園計画,造園技術,環境緑化材料,測量,

生物活用,グリーンライフ

工業 工業技術基礎,課題研究,実習,製図,工業数理基礎,情報技術基

礎,材料技術基礎,生産システム技術,工業技術英語,工業管理技

術,環境工学基礎,機械工作,機械設計,原動機,電子機械,電子

機械応用,自動車工学,自動車整備,電気基礎,電気機器,電力技

術,電子技術,電子回路,電子計測制御,通信技術,電子情報技術,

プログラミング技術,ハードウェア技術,ソフトウェア技術,コン

工業ピュータシステム技術,建築構造,建築計画,建築構造設計,建築

施工,建築法規,設備計画,空気調和設備,衛生・防災設備,測量,

土木基礎力学,土木構造設計,土木施工,社会基盤工学,工業化学,

化学工学,地球環境化学,材料製造技術,工業材料,材料加工,セ

ラミック化学,セラミック技術,セラミック工業,繊維製品,繊維

・染色技術,染織デザイン,インテリア計画,インテリア装備,イ

ンテリアエレメント生産,デザイン技術,デザイン材料,デザイン

商業 ビジネス基礎,課題研究,総合実践,ビジネス実務,マーケティン

グ,商品開発,広告と販売促進,ビジネス経済,ビジネス経済応用,

商業経済活動と法,簿記,財務会計Ⅰ,財務会計Ⅱ,原価計算,管理会

計,情報処理,ビジネス情報,電子商取引,プログラミング,ビジ

ネス情報管理

水産 水産海洋基礎,課題研究,総合実習,海洋情報技術,水産海洋科学,

漁業,航海・計器,船舶運用,船用機関,機械設計工作,電気理論,

水産移動体通信工学,海洋通信技術,資源増殖,海洋生物,海洋環境,

小型船舶,食品製造,食品管理,水産流通,ダイビング,マリンス

ポーツ

家庭 生活産業基礎,課題研究,生活産業情報,消費生活,子どもの発達

と保育,子ども文化,生活と福祉,リビングデザイン,服飾文化,

家庭ファッション造形基礎,ファッション造形,ファッションデザイン,

服飾手芸,フードデザイン,食文化,調理,栄養,食品,食品衛生,

公衆衛生

看護 基礎看護,人体と看護,疾病と看護,生活と看護,成人看護,老年

看護看護,精神看護,在宅看護,母性看護,小児看護,看護の統合と実

践,看護臨地実習,看護情報活用

情報 情報産業と社会,課題研究,情報の表現と管理,情報と問題解決,

情報情報テクノロジー,アルゴリズムとプログラム,ネットワークシス

テム,データベース,情報システム実習,情報メディア,情報デザ

イン,表現メディアの編集と表現,情報コンテンツ実習

福祉 社会福祉基礎,介護福祉基礎,コミュニケーション技術,生活支援

福祉技術,介護過程,介護総合演習,介護実習,こころとからだの理解,

福祉情報活用

理数 理数数学Ⅰ,理数数学Ⅱ,理数数学特論,理数物理,理数化学,理

数生物,理数地学,課題研究

体育 スポーツ概論,スポーツⅠ,スポーツⅡ,スポーツⅢ,スポーツⅣ,

スポーツⅤ,スポーツⅥ,スポーツ総合演習

音楽 音楽理論,音楽史,演奏研究,ソルフェージュ,声楽,器楽,作曲,

鑑賞研究

美術 美術概論,美術史,素描,構成,絵画,版画,彫刻,ビジュアルデ

美術ザイン,クラフトデザイン,情報メディアデザイン,映像表現,環

境造形,鑑賞研究

英語 総合英語,英語理解,英語表現,異文化理解,時事英語

備考

一(一)及び(二)の表の上欄に掲げる各教科について,それぞれの表の下欄に掲げ

る各教科に属する科目以外の科目を設けることができる。

二(一)及び(二)の表の上欄に掲げる各教科以外の教科及び当該教科に関する科目

を設けることができる。

 

  学校教育法施行規則より  第六章 高等学校 について

 

    第一節 設備、編制、学科及び教育課程

  第八十三条  高等学校の教育課程は、別表第三に定める各教科に属する科目、特別活動及び総合的な学習

の時間によって編成するものとする。

 

  第七章 中等教育学校並びに併設型中学校及び併設型高等学校

    第一節 中等教育学校

  第百八条  中等教育学校の前期課程の教育課程については、第五十条第二項、第五十五条から第五十六条

まで及び第七十二条の規定並びに第七十四条の規定に基づき文部科学大臣が公示する中学校

学習指導要領の規定を準用する。この場合において、第五十五条から第五十六条までの規定中

「第五十条第一項、第五十一条又は第五十二条」とあるのは、「第百七条又は第百八条第一項

において準用する第七十二条若しくは第七十四条の規定に基づき文部科学大臣が公示する中

学校学習指導要領」と、第五十五条の二中「第三十条第一項」とあるのは「第六十七条第一項

」と読み替えるものとする。

 中等教育学校の後期課程の教育課程については、第八十三条及び第八十五条から第八

十六条までの規定並びに第八十四条の規定に基づき文部科学大臣が公示する高等学校学習

指導要領の規定を準用する。この場合において、第八十五条中「前二条」とあり、並びに第

八十五条の二及び第八十六条中「第八十三条又は第八十四条」とあるのは、「第百八条第二

項において準用する第八十三条又は第八十四条の規定に基づき文部科学大臣が公示する高

等学校学習指導要領」と、第八十五条の二中「第五十一条」とあるのは「第六十七条第二項」

と読み替えるものとする。

 

 

別表第五学校教育法施行規則 第百二十八条関係)

(一) 視覚障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校の主として専門学科において開

設される各教科

各教科各教科に属する科目

保健理療 医療と社会,人体の構造と機能,疾病の成り立ちと予防,生活と疾

病,基礎保健理療,臨床保健理療,地域保健理療と保健理療経営,

保健理療基礎実習,保健理療臨床実習,保健理療情報活用,課題研

理療 医療と社会,人体の構造と機能,疾病の成り立ちと予防,生活と疾

理療病,基礎理療学,臨床理療学,地域理療と理療経営,理療基礎実習,

理療臨床実習,理療情報活用,課題研究

理学療法 人体の構造と機能,疾病と障害,保健・医療・福祉とリハビリテー

理学療法ション,基礎理学療法学,理学療法評価学,理学療法治療学,地域

理学療法学,臨床実習,理学療法情報活用,課題研究

(二) 聴覚障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校の主として専門学科において開

設される各教科

各教科各教科に属する科目

印刷 印刷概論,写真製版,印刷機械・材料,印刷デザイン,写真化学・

光学,文書処理・管理,印刷情報技術基礎,画像技術,印刷総合実

習,課題研究

理容・理容 理容・美容関係法規,衛生管理,理容・美容保健,理容・美容の物

美容理・化学,理容・美容文化論,理容・美容技術理論,理容・美容運

営管理,理容実習,理容・美容情報活用,課題研究

クリーニング クリーニング関係法規,公衆衛生,クリーニング理論,繊維,クリ

ングーニング機器・装置,クリーニング実習,課題研究

歯科技工 歯科技工関係法規,歯科技工学概論,歯科理工学,歯の解剖学,顎がく

口腔機能学,有床義歯技工学,歯冠修復技工学,矯正歯科技工学,

小児歯科技工学,歯科技工実習,歯科技工情報活用,課題研究

 

備考

一(一)及び(二)の表の上欄に掲げる各教科について,それぞれの表の下欄に掲げ

る各教科に属する科目以外の科目を設けることができる。

二(一)及び(二)の表の上欄に掲げる各教科以外の教科及び当該教科に関する科目

を設けることができる。

 

 

 

学校教育法施行規則より  第八章特別支援教育について(118条から140条まで)をもっくくわしく見てみると

 

第百二十六条  特別支援学校の小学部の教育課程は、国語、社会、算数、理科、生活、音楽、図画工作、家庭及び体育の各教科、道徳、外国語活動、総合的な学習の時間、特別活動並びに自立活動によって編成するものとする。

 前項の規定にかかわらず、知的障害者である児童を教育する場合は、生活、国語、算数、音楽、図画工作及び体育の各教科、道徳、特別活動並びに自立活動によって教育課程を編成するものとする。(知的障害者である児童の場合は社会と理科の科目がない?)

 

第百二十七条  特別支援学校の中学部の教育課程は、国語、社会、数学、理科、音楽、美術、保健体育、技術・家庭及び外国語の各教科、道徳、総合的な学習の時間、特別活動並びに自立活動によって編成するものとする。

 前項の規定にかかわらず、知的障害者である生徒を教育する場合は、国語、社会、数学、理科、音楽、美術、保健体育及び職業・家庭の各教科、道徳、総合的な学習の時間、特別活動並びに自立活動によって教育課程を編成するものとする。ただし、必要がある場合には、外国語科を加えて教育課程を編成することができる。(知的障害者である生徒の場合は技術・家庭科ではなく職業・家庭となっている?)

第百二十八条 特別支援学校の高等部の教育課程は,別表第三及び別表第五に定める各教科に属す

る科目,総合的な学習の時間,特別活動並びに自立活動によって編成するものとする。

前項の規定にかかわらず,知的障害者である生徒を教育する場合は国語,社会,数学,理科,

音楽,美術,保健体育,職業,家庭,外国語,情報,家政,農業,工業,流通・サービス及び

福祉の各教科及び第百二十九条に規定する特別支援学校高等部学習指導要領で定めるこれら

以外の教科,道徳,総合的な学習の時間,特別活動並びに自立活動によって教育課程を編成す

るものとする。(知的障害者である高等部の生徒は原則道徳の授業がある。なぜなのか?)

第百二十九条 特別支援学校の幼稚部の教育課程その他の保育内容並びに小学部,中学部及び高等

部の教育課程については,この章に定めるもののほか,教育課程その他の保育内容又は教育課程

の基準として文部科学大臣が別に公示する特別支援学校幼稚部教育要領,特別支援学校小学部・

中学部学習指導要領及び特別支援学校高等部学習指導要領によるものとする。

第百三十条 特別支援学校の小学部,中学部又は高等部においては,特に必要がある場合は,第百

二十六条から第百二十八条までに規定する各教科(次項において「各教科」という。)又は別表

第三及び別表第五に定める各教科に属する科目の全部又は一部について,合わせて授業を行うこ

とができる。

特別支援学校の小学部,中学部又は高等部においては,知的障害者である児童若しくは生徒又

は複数の種類の障害を併せ有する児童若しくは生徒を教育する場合において特に必要があるとき

は,各教科,道徳,外国語活動,特別活動及び自立活動の全部又は一部について,合わせて授業

を行うことができる。

第百三十一条 特別支援学校の小学部,中学部又は高等部において,複数の種類の障害を併せ有す

る児童若しくは生徒を教育する場合又は教員を派遣して教育を行う場合において,特に必要があ

るときは,第百二十六条から第百二十九条までの規定にかかわらず,特別の教育課程によること

ができる。

前項の規定により特別の教育課程による場合において,文部科学大臣の検定を経た教科用図書

又は文部科学省が著作の名義を有する教科用図書を使用することが適当でないときは,当該学校

の設置者の定めるところにより,他の適切な教科用図書を使用することができる。

第百三十二条 特別支援学校の小学部,中学部又は高等部の教育課程に関し,その改善に資する研

究を行うため特に必要があり,かつ,児童又は生徒の教育上適切な配慮がなされていると文部科

学大臣が認める場合においては,文部科学大臣が別に定めるところにより,第百二十六条から第

百二十九条までの規定によらないことができる。

第百三十二条の二 文部科学大臣が,特別支援学校の小学部,中学部又は高等部において,当該特

別支援学校又は当該特別支援学校が設置されている地域の実態に照らし,より効果的な教育を

実施するため,当該特別支援学校又は当該地域の特色を生かした特別の教育課程を編成して教

育を実施する必要があり,かつ,当該特別の教育課程について,教育基本法及び学校教育法第

七十二条の規定等に照らして適切であり,児童又は生徒の教育上適切な配慮がなされているも

のとして文部科学大臣が定める基準を満たしていると認める場合においては,文部科学大臣が

別に定めるところにより,第百二十六条から第百二十九条までの規定の一部又は全部によらな

いことができる。

第百三十三条 校長は,生徒の特別支援学校の高等部の全課程の修了を認めるに当たっては,特別

支援学校高等部学習指導要領に定めるところにより行うものとする。ただし,前二条の規定によ

り,特別支援学校の高等部の教育課程に関し第百二十八条及び第百二十九条の規定によらない場

合においては,文部科学大臣が別に定めるところにより行うものとする。

第百三十八条 小学校若しくは中学校又は中等教育学校の前期課程における特別支援学級に係る教

育課程については,特に必要がある場合は,第五十条第一項,第五十一条及び第五十二条の規定

並びに第七十二条から第七十四条までの規定にかかわらず,特別の教育課程によることができる。

第百四十条 小学校若しくは中学校又は中等教育学校の前期課程において,次の各号のいずれかに

該当する児童又は生徒(特別支援学級の児童及び生徒を除く。)のうち当該障害に応じた特別の

指導を行う必要があるものを教育する場合には,文部科学大臣が別に定めるところにより,第五

十条第一項,第五十一条及び第五十二条の規定並びに第七十二条から第七十四条までの規定にか

かわらず,特別の教育課程によることができる。

一言語障害者

二自閉症者

三情緒障害者

四弱視者

五難聴者

六学習障害者

七注意欠陥多動性障害者

八その他障害のある者で,この条の規定により特別の教育課程による教育を行うことが適当な

もの

 

       (通級による指導(通級指導教室)の根拠法である。八 その他障害のある者でとは具体的には肢体不自由者や病弱者を指している)

 

第百四十一条 前条の規定により特別の教育課程による場合においては,校長は,児童又は生徒が,

当該小学校,中学校又は中等教育学校の設置者の定めるところにより他の小学校,中学校,中等

教育学校の前期課程又は特別支援学校の小学部若しくは中学部において受けた授業を,当該小学

校若しくは中学校又は中等教育学校の前期課程において受けた当該特別の教育課程に係る授業

とみなすことができる。

 

 

 

ここで

 

第百二十八条 

前項の規定にかかわらず,知的障害者である生徒を教育する場合は国語,社会,数学,理科,

音楽,美術,保健体育,職業,家庭,外国語,情報,家政,農業,工業,流通・サービス及び

福祉の各教科及び第百二十九条に規定する特別支援学校高等部学習指導要領で定めるこれら

以外の教科,道徳,総合的な学習の時間,特別活動並びに自立活動によって教育課程を編成す

るものとする。

 

の,国語,社会,数学,理科,音楽,美術,保健体育,職業,家庭,外国語,情報,家政,農業,

工業,流通・サービス及び福祉の各教科の各教科と高等学校での各教科とは目的や内容は同

じなのであろうか?

 

次に指導要領を見てみる

 

特別支援学校高等部学習指導要領 第1章 総則より

2款 視覚障害者,聴覚障害者,肢体不自由者又は病弱者である生徒に対する教育を行う特別支援学校における各教科・科目等の履修等

1 各教科・科目及び単位数等

1 卒業までに履修させる単位数等
 各学校においては,卒業までに履修させる下記2から5までに示す各教科に属する科目及びその単位数,総合的な学習の時間の単位数,特別活動及びその授業時数並びに自立活動の授業時数に関する事項を定めるものとする。この場合,各教科に属する科目(以下「各教科・科目」という。)及び総合的な学習の時間の単位数の計は,この款の第2に掲げる各教科・科目の単位数及び総合的な学習の時間の単位数を含めて74単位(自立活動の授業については,授業時数を単位数に換算して,この単位数に含めることができる。)以上とする。
 単位については,1単位時間を50分とし,35単位時間の授業を1単位として計算することを標準とする。

2 各学科に共通する各教科・科目及び標準単位数
 各学校においては,教育課程の編成に当たって,次の表に掲げる各教科・科目及びそれぞれの標準単位数を踏まえ,生徒に履修させる各教科・科目及びそれらの単位数について適切に定めるものとする。ただし,生徒の実態等を考慮し,特に必要がある場合には,標準単位数の標準の限度を超えて単位数を増加して配当することができる。

教科

科目

標準

国語

国語総合
国語表現
現代文A
現代文B
古典A
古典B

4
3
2
4
2
4

地理歴史

世界史A
世界史B
日本史A
日本史B
地理A
地理B

2
4
2
4
2
4

公民

現代社会
倫理
政治・経済

2
2
2

数学

数学1
数学2
数学3
数学A
数学B
数学活用

3
4
5
2
2
2

理科

科学と人間生活
物理基礎
物理
化学基礎
化学
生物基礎
生物
地学基礎
地学
理科課題研究

2
2
4
2
4
2
4
2
4
1

保健体育

体育
保健

78
2

芸術

音楽1
音楽2
音楽3
美術1
美術2
美術3
工芸1
工芸2
工芸3
書道1
書道2
書道3

2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2

外国語

コミュニケーション英語基礎
コミュニケーション英語1
コミュニケーション英語2
コミュニケーション英語3
英語表現1
英語表現2
英語会話

2
3
4
4
2
4
2

家庭

家庭基礎
家庭総合
生活デザイン

2
4
4

情報

社会と情報
情報の科学

2
2

 

3 主として専門学科において開設される各教科・科目
 各学校においては,教育課程の編成に当たって,視覚障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校にあっては次の表の(1)及び(2),聴覚障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校にあっては次の表の(1)及び(3),肢体不自由者又は病弱者である生徒に対する教育を行う特別支援学校にあっては次の表の(1)に掲げる主として専門学科(専門教育を主とする学科をいう。以下同じ。)において開設される各教科・科目及び設置者の定めるそれぞれの標準単位数を踏まえ,生徒に履修させる各教科・科目及びその単位数について適切に定めるものとする。


1視覚障害者,聴覚障害者,肢体不自由者又は病弱者である生徒に対する教育 を行う特別支援学校

教科

科目

農業

農業と環境,課題研究,総合実習,農業情報処理,作物,野菜,果樹,草花,畜産,農業経営,農業機械,食品製造,食品化学,微生物利用,植物バイオテクノロジー,動物バイオテクノロジー,農業経済,食品流通,森林科学,森林経営,林産物利用,農業土木設計,農業土木施工,水循環,造園計画,造園技術,環境緑化材料,測量,生物活用,グリーンライフ

工業

工業技術基礎,課題研究,実習,製図,工業数理基礎,情報技術基礎,材料技術基礎,生産システム技術,工業技術英語,工業管理技術,環境工学基礎,機械工作,機械設計,原動機,電子機械,電子機械応用,自動車工学,自動車整備,電気基礎,電気機器,電力技術,電子技術,電子回路,電子計測制御,通信技術,電子情報技術,プログラミング技術,ハードウェア技術,ソフトウェア技術,コンピュータシステム技術,建築構造,建築構造設計,建築計画,建築施工,建築法規,設備計画,空気調和設備,衛生・防災設備,測量,土木基礎力学,土木構造設計,土木施工,社会基盤工学,工業化学,化学工学,地球環境化学,材料製造技術,工業材料,材料加工,セラミック化学,セラミック技術,セラミック工業,繊維製品,繊維・染色技術,染織デザイン,インテリア計画,インテリア装備,インテリアエレメント生産,デザイン技術,デザイン材料,デザイン史

商業

ビジネス基礎,課題研究,総合実践,ビジネス実務,マーケティング,商品開発,広告と販売促進,ビジネス経済,ビジネス経済応用,経済活動と法,簿記,財務会計1,財務会計2,原価計算,管理会計,情報処理,ビジネス情報,電子商取引,プログラミング,ビジネス情報管理

水産

水産海洋基礎,課題研究,総合実習,海洋情報技術,水産海洋科学,漁業,航海・計器,船舶運用,船用機関,機械設計工作,電気理論,移動体通信工学,海洋通信技術,資源増殖,海洋生物,海洋環境,小型船舶,食品製造,食品管理,水産流通,ダイビング,マリンスポーツ

家庭

生活産業基礎,課題研究,生活産業情報,消費生活,子どもの発達と保育,子ども文化,生活と福祉,リビングデザイン,服飾文化,ファッション造形基礎,ファッション造形,ファッションデザイン,服飾手芸,フードデザイン,食文化,調理,栄養,食品,食品衛生,公衆衛生

看護

基礎看護,人体と看護,疾病と看護,生活と看護,成人看護,老年看護,精神看護,在宅看護,母性看護,小児看護,看護の統合と実践,看護臨地実習,看護情報活用

情報

情報産業と社会,課題研究,情報の表現と管理,情報と問題解決,情報テクノロジー,アルゴリズムとプログラム,ネットワークシステム,データベース,情報システム実習,情報メディア,情報デザイン,表現メディアの編集と表現,情報コンテンツ実習

福祉

社会福祉基礎,介護福祉基礎,コミュニケーション技術,生活支援技術,介護過程,介護総合演習,介護実習,こころとからだの理解,福祉情報活用

理数

理数数学1,理数数学2,理数数学特論,理数物理,理数化学,理数生物,理数地学,課題研究

体育

スポーツ概論,スポーツ1,スポーツ2,スポーツ3,スポーツ4,スポーツ5,スポーツ6,スポーツ総合演習

音楽

音楽理論,音楽史,演奏研究,ソルフェージュ,声楽,器楽,作曲,鑑賞研究

美術

美術概論,美術史,素描,構成,絵画,版画,彫刻,ビジュアルデザイン,クラフトデザイン,情報メディアデザイン,映像表現,環境造形,鑑賞研究

英語

総合英語,英語理解,英語表現,異文化理解,時事英語

 

2視覚障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校

教科

科目

保健
理療

医療と社会,人体の構造と機能,疾病の成り立ちと予防,生活と疾病,基礎保健理療,臨床保健理療,地域保健理療と保健理療経営,保健理療基礎実習,保健理療臨床実習,保健理療情報活用,課題研究

 

3聴覚障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校

教科

科目

印刷

印刷概論,写真製版,印刷機械・材料,印刷デザイン,写真化学・光学,文書処理・管理,印刷情報技術基礎,画像技術,印刷総合実習,課題研究

理容・美容

理容・美容関係法規,衛生管理,理容・美容保健,理容・美容の物理・化学,理容・美容文化論,理容・美容技術理論,理容・美容運営管理,理容実習,美容実習,理容・美容情報活用,課題研究

クリーニング

クリーニング関係法規,公衆衛生,クリーニング理論,繊維,クリーニング機器・装置,クリーニング実習,課題研究

4 学校設定科目
 学校においては,地域,学校及び生徒の実態,学科の特色等に応じ,特色ある教育課程の編成に資するよう,上記2及び3の表に掲げる教科について,これらに属する科目以外の科目(以下「学校設定科目」という。)を設けることができる。この場合において,学校設定科目の名称,目標,内容,単位数等については,その科目の属する教科の目標に基づき,各学校の定めるところによるものとする。

5 学校設定教科
 (1) 学校においては,地域,学校及び生徒の実態,学科の特色等に応じ,特色ある教育課程の編成に資するよう,上記2及び3の表に掲げる教科以外の教科(以下この項及び第5款第12において「学校設定教科」という。)及び当該教科に関する科目を設けることができる。この場合において,学校設定教科及び当該教科に関する科目の名称,目標,内容,単位数等については,高等部における教育の目標及びその水準の維持等に十分配慮し,各学校の定めるところによるものとする。
 (2) 学校においては,学校設定教科に関する科目として「産業社会と人間」を設けることができる。この科目の目標,内容,単位数等を各学校において定めるに当たっては,産業社会における自己の在り方生き方について考えさせ,社会に積極的に寄与し,生涯にわたって学習に取り組む意欲や態度を養うとともに,生徒の主体的な各教科・科目の選択に資するよう,就業体験等の体験的な学習や調査・研究などを通して,次のような事項について指導することに配慮するものとする。
 ア 社会生活や職業生活に必要な基本的な能力や態度及び望ましい勤労観,職業観の育成
 イ 我が国の産業の発展とそれがもたらした社会の変化についての考察
 ウ 自己の将来の生き方や進路についての考察及び各教科・科目の履修計画の作成

2 各教科・科目の履修等

1 各学科に共通する必履修教科・科目及び総合的な学習の時間
 (1) すべての生徒に履修させる各教科・科目(以下「必履修教科・科目」という。)は次のとおりとし,その単位数は,この款の第12に標準単位数として示された単位数を下らないものとする。ただし,生徒の実態及び専門学科の特色等を考慮し,特に必要がある場合には,「国語総合」については3単位又は2単位とし,「数学1」及び「コミュニケーション英語1」については2単位とすることができ,その他の必履修教科・科目(標準単位数が2単位であるものを除く。)についてはその単位数の一部を減じることができる。
 ア 国語のうち「国語総合」
 イ 地理歴史のうち「世界史A」及び「世界史B」のうちから1科目並びに「日本史A」,「日本史B」,「地理A」及び「地理B」のうちから1科目
 ウ 公民のうち「現代社会」又は「倫理」・「政治・経済」
 エ 数学のうち「数学1
 オ 理科のうち「科学と人間生活」,「物理基礎」,「化学基礎」,「生物基礎」及び「地学基礎」のうちから2科目(うち1科目は「科学と人間生活」とする。)又は「物理基礎」,「化学基礎」,「生物基礎」及び「地学基礎」のうちから3科目
 カ 保健体育のうち「体育」及び「保健」
 キ 芸術のうち「音楽1」,「美術1」,「工芸1」及び「書道1」のうちから1科目
 ク 外国語のうち「コミュニケーション英語1」(英語以外の外国語を履修する場合は,学校設定科目として設ける1科目とし,その標準単位数は3単位とする。)
 ケ 家庭のうち「家庭基礎」,「家庭総合」及び「生活デザイン」のうちから1科目
 コ 情報のうち「社会と情報」及び「情報の科学」のうちから1科目
 (2) 総合的な学習の時間については,すべての生徒に履修させるものとし,その単位数は,各学校において,学校や生徒の実態に応じて適切に定めるものとする。

2 専門学科における各教科・科目の履修
 専門学科における各教科・科目の履修については,上記1のほか次のとおりとする。
 (1) 専門学科においては,専門教科・科目(第2款第13の表に掲げる各教科・科目,同表に掲げる教科に属する学校設定科目及び専門教育に関する学校設定教科に関する科目をいう。以下同じ。)について,すべての生徒に履修させる単位数は,25単位を下らないこと。ただし,各学科の目標を達成する上で,専門教科・科目以外の各教科・科目の履修により,専門教科・科目の履修と同様の成果が期待できる場合においては,その専門教科・科目以外の各教科・科目の単位数の一部の履修をもって,当該専門教科・科目の単位数の一部の履修に替えることができること。
 (2) 専門教科・科目の履修によって,上記1の必履修教科・科目の履修と同様の成果が期待できる場合においては,その専門教科・科目の履修をもって,必履修教科・科目の履修の一部又は全部に替えることができること。
 (3) 職業教育を主とする学科においては,総合的な学習の時間の履修により,農業,工業,商業,水産,家庭,情報,保健理療,印刷,理容・美容若しくはクリーニングの各教科に属する「課題研究」,「看護臨地実習」又は「介護総合演習」(以下この項において「課題研究等」という。)の履修と同様の成果が期待できる場合においては,総合的な学習の時間の履修をもって課題研究等の履修の一部又は全部に替えることができる。また,課題研究等の履修により,総合的な学習の時間の履修と同様の成果が期待できる場合においては,課題研究等の履修をもって総合的な学習の時間の履修の一部又は全部に替えることができる。

3 各教科・科目,総合的な学習の時間,特別活動及び自立活動の授業時数等

1.   各教科・科目,ホームルーム活動及び自立活動の授業は,年間35週行うことを標準とし,必要がある場合には,各教科・科目及び自立活動の授業を特定の学期又は特定の期間(夏季,冬季,学年末等の休業日の期間に授業日を設定する場合を含む。)に行うことができる。

2.   週当たりの授業時数は,30単位時間を標準とする。ただし,特に必要がある場合には,これを増加することができる。

3.   ホームルーム活動の授業時数については,原則として,年間35単位時間以上とするものとする。

4.   生徒会活動及び学校行事については,学校や生徒の実態に応じて,それぞれ適切な授業時数を充てるものとする。

5.   各学年における自立活動の時間に充てる授業時数は,生徒の障害の状態に応じて,適切に定めるものとする。

6.   各教科・科目,総合的な学習の時間,特別活動及び自立活動(以下「各教科・科目等」という。)のそれぞれの授業の1単位時間は,各学校において,各教科・科目等の授業時数を確保しつつ,生徒の実態及び各教科・科目等の特質を考慮して適切に定めるものとする。なお,10分間程度の短い時間を単位として特定の各教科・科目の指導を行う場合において,当該各教科・科目を担当する教師がその指導内容の決定や指導の成果の把握と活用等を責任をもって行う体制が整備されているときは,その時間を当該各教科・科目の授業時数に含めることができる。

7.   総合的な学習の時間における学習活動により,特別活動の学校行事に掲げる各行事の実施と同様の成果が期待できる場合においては,総合的な学習の時間における学習活動をもって相当する特別活動の学校行事に掲げる各行事の実施に替えることができる。

  ここは視覚や聴覚障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校の専門学科は別として 各学科に共通する各教科・科目及び標準単位数や主として専門学科において開設される各教科・科目は高等学校の各教科の目標及び各科目の目標と内容に準じてる。

自立活動を含めて必修、選択科目等を含めて74単位以上で卒業=高卒資格+大学入学資格あり

  自立活動は直接関係がないことが分かったし、高等学校の各教科の目標及び各科目の目標と内容に準じていることが分かった

   

次に 知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校における各教科等の履修等を見てみると

 

3款 知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校における各教科等の履修等

1 各教科等の履修

1 卒業までに履修させる各教科等
 各学校においては,卒業までに履修させる下記2から4までに示す各教科及びその授業時数,道徳及び総合的な学習の時間の授業時数,特別活動及びその授業時数並びに自立活動の授業時数に関する事項を定めるものとする。

2 各学科に共通する各教科等
 (1) 国語,社会,数学,理科,音楽,美術,保健体育,職業及び家庭の各教科,道徳,総合的な学習の時間,特別活動並びに自立活動については,特に示す場合を除き,すべての生徒に履修させるものとする。
 (2) 外国語及び情報の各教科については,学校や生徒の実態を考慮し,必要に応じて設けることができる。

3 主として専門学科において開設される各教科
 (1) 専門学科においては,上記2のほか,家政,農業,工業,流通・サービス若しくは福祉の各教科又は下記4に規定する学校設定教科のうち専門教育に関するもの(以下「専門教科」という。)のうち,いずれか1以上履修させるものとする。
 (2) 専門教科の履修によって,上記2の(1)のすべての生徒に履修させる各教科の履修と同様の成果が期待できる場合においては,その専門教科の履修をもって,すべての生徒に履修させる各教科の履修に替えることができる。

4 学校設定教科
 学校においては,地域,学校及び生徒の実態,学科の特色等に応じ,特色ある教育課程の編成に資するよう,第2章第2節第1款及び第2款に掲げる教科以外の教科(以下この項において「学校設定教科」という。)を設けることができる。この場合において,学校設定教科の名称,目標,内容等については,高等部における教育の目標及びその水準の維持等に十分配慮し,各学校の定めるところによるものとする。

2 各教科,道徳,総合的な学習の時間,特別活動及び自立活動の授業時数等

1.   各教科,道徳,総合的な学習の時間,特別活動及び自立活動(以下「各教科等」という。ただし,この項及び8において,特別活動についてはホームルーム活動に限る。)の総授業時数は,各学年とも1,050単位時間(1単位時間は,50分として計算するものとする。3において同じ。)を標準とし,特に必要がある場合には,これを増加することができる。この場合,各教科等の目標及び内容を考慮し,各教科及び総合的な学習の時間の配当学年及び当該学年における授業時数,道徳,特別活動及び自立活動の各学年における授業時数を適切に定めるものとする。

2.   各教科,道徳,ホームルーム活動及び自立活動の授業は,年間35週行うことを標準とし,必要がある場合には,各教科,道徳及び自立活動の授業を特定の学期又は特定の期間(夏季,冬季,学年末等の休業日の期間に授業日を設定する場合を含む。)に行うことができる。

3.   専門学科においては,専門教科について,すべての生徒に履修させる授業時数は,875単位時間を下らないものとする。

4.   ホームルーム活動の授業時数については,原則として,年間35単位時間以上とするものとする。

5.   生徒会活動及び学校行事については,学校や生徒の実態に応じて,それぞれ適切な授業時数を充てるものとする。

6.   総合的な学習の時間に充てる授業時数は,各学校において,学校や生徒の実態に応じて,適切に定めるものとする。

7.   各学年における自立活動の時間に充てる授業時数は,生徒の障害の状態に応じて,適切に定めるものとする。

8.   各教科等のそれぞれの授業の1単位時間は,各学校において,生徒の実態及び各教科等の特質を考慮して適切に定めるものとする。なお,10分間程度の短い時間を単位として特定の教科の指導を行う場合において,当該教科を担当する教師がその指導内容の決定や指導の成果の把握と活用等を責任をもって行う体制が整備されているときは,その時間を当該教科の授業時数に含めることができる。

9.   総合的な学習の時間における学習活動により,特別活動の学校行事に掲げる各行事の実施と同様の成果が期待できる場合においては,総合的な学習の時間における学習活動をもって相当する特別活動の学校行事に掲げる各行事の実施に替えることができる。

10. 

4款 教育課程の編成・実施に当たって配慮すべき事項

1 選択履修の趣旨を生かした適切な教育課程編成
 教育課程の編成に当たっては,生徒の障害の状態,特性及び進路等に応じた適切な各教科・科目(知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校においては各教科。この款及び第6款において同じ。)の履修ができるようにし,このため,多様な各教科・科目を設け生徒が自由に選択履修することのできるよう配慮するものとする。また,教育課程の類型を設け,そのいずれかの類型を選択して履修させる場合においても,その類型において履修させることになっている各教科・科目以外の各教科・科目を履修させたり,生徒が自由に選択履修することのできる各教科・科目を設けたりするものとする。

2 各教科・科目等の内容等の取扱い
1) 学校においては,第2章以下に示していない事項を加えて指導することができる。また,第2章第1節第2款において準ずるものとしている高等学校学習指導要領第2章及び第3章並びに同節第3款から第9款までに示す各科目の内容の取扱いのうち内容の範囲や程度等を示す事項は,当該科目を履修するすべての生徒に対して指導するものとする内容の範囲や程度等を示したものであり,学校において必要がある場合には,この事項にかかわらず指導することができる。ただし,これらの場合には,第2章以下に示す各教科・科目,特別活動及び自立活動(知的障害者である生徒を教育する特別支援学校においては,各教科,道徳,特別活動及び自立活動)の目標や内容の趣旨を逸脱したり,生徒の負担過重になったりすることのないようにするものとする。
2) 第2章以下に示す各教科・科目,特別活動及び自立活動の内容に掲げる事項の順序は,特に示す場合を除き,指導の順序を示すものではないので,学校においては,その取扱いについて適切な工夫を加えるものとする。
3) 視覚障害者,聴覚障害者,肢体不自由者又は病弱者である生徒を教育する特別支援学校においては,あらかじめ計画して,各教科・科目の内容及び総合的な学習の時間における学習活動を学期の区分に応じて単位ごとに分割して指導することができる。
4) 学校においては,特に必要がある場合には,第2章に示す教科及び科目の目標の趣旨を損なわない範囲内で,各教科・科目及び各段階の内容に関する事項について,基礎的・基本的な事項に重点を置くなどその内容を適切に選択して指導することができる。
5) 知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校において,各教科の指導に当たっては,各教科の各段階に示す内容を基に,生徒の知的障害の状態や経験等に応じて,具体的に指導内容を設定するものとする。また,各教科,道徳,特別活動及び自立活動の全部又は一部を合わせて指導を行う場合には,各教科の各段階,道徳,特別活動及び自立活動に示す内容を基に,生徒の知的障害の状態や経験等に応じて,具体的に指導内容を設定するものとする。

   5款 単位の修得及び卒業の認定

1 視覚障害者,聴覚障害者,肢体不自由者又は病弱者である生徒を教育する特別支援学校

1 各教科・科目及び総合的な学習の時間の単位の修得の認定
1) 学校においては,生徒が学校の定める指導計画に従って各教科・科目を履修し,その成果が教科及び科目の目標からみて満足できると認められる場合には,その各教科・科目について履修した単位を修得したことを認定しなければならない。
2) 学校においては,生徒が学校の定める指導計画に従って総合的な学習の時間を履修し,その成果が第4章に定める目標からみて満足できると認められる場合には,総合的な学習の時間について履修した単位を修得したことを認定しなければならない。
3) 学校においては,生徒が1科目又は総合的な学習の時間を2以上の学年にわたって履修したときは,各学年ごとにその各教科・科目又は総合的な学習の時間について履修した単位を修得したことを認定することを原則とする。また,単位の修得の認定を学期の区分ごとに行うことができる。

2 卒業までに修得させる単位数
 学校においては,卒業までに修得させる単位数を定め,校長は,当該単位数を修得した者で,特別活動及び自立活動の成果がそれらの目標からみて満足できると認められるものについて,高等部の全課程の修了を認定するものとする。この場合,卒業までに修得させる単位数は,74単位(自立活動の授業については,授業時数を単位数に換算して,この単位数に含めることができる。)以上とする。なお,普通科においては,卒業までに修得させる単位数に含めることができる学校設定科目及び学校設定教科に関する科目に係る修得単位数は,合わせて20単位を超えることができない。

3 各学年の課程の修了の認定
 学校においては,各学年の課程の修了の認定については,単位制が併用されていることを踏まえ,弾力的に行うよう配慮するものとする。

2 知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校

 学校においては,卒業までに履修させる各教科,道徳,総合的な学習の時間,特別活動及び自立活動のそれぞれの授業時数を定めるものとする。
 校長は,各教科,道徳,総合的な学習の時間,特別活動及び自立活動を履修した者で,その成果がそれらの目標からみて満足できると認められるものについて,高等部の全課程の修了を認定するものとする。

6款 重複障害者等に関する教育課程の取扱い

1.   生徒の障害の状態により特に必要がある場合には,次に示すところによるものとする。
1) 各教科・科目の目標及び内容の一部を取り扱わないことができること。
2) 高等部の各教科・科目の目標及び内容の一部を,当該各教科・科目に相当する中学部又は小学部の各教科の目標及び内容に関する事項の一部によって,替えることができること。
3) 視覚障害者,聴覚障害者,肢体不自由者又は病弱者である生徒に対する教育を行う特別支援学校の外国語科に属する科目については,小学部・中学部学習指導要領に示す外国語活動の目標及び内容の一部を取り入れることができること。

2.   視覚障害者,聴覚障害者,肢体不自由者又は病弱者である生徒に対する教育を行う特別支援学校に就学する生徒のうち,知的障害を併せ有する者については,次に示すところによるものとする。
1) 各教科・科目又は各教科・科目の目標及び内容の一部を,当該各教科・科目に相当する第2章第2節第1款及び第2款に示す知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校の各教科又は各教科の目標及び内容の一部によって,替えることができること。この場合,各教科・科目に替えて履修した第2章第2節第1款及び第2款に示す各教科については,1単位時間を50分とし,35単位時間の授業を1単位として計算することを標準とするものとすること。
2) 生徒の障害の状態により特に必要がある場合には,第1章第2節第3款に示す知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校における各教科等の履修等によることができること。
3) 校長は,上記2の(2)により,第1章第2節第3款に示す知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校における各教科等を履修した者で,その成果がそれらの目標からみて満足できると認められるものについて,高等部の全課程の修了を認定するものとすること。

3.   重複障害者のうち,障害の状態により特に必要がある場合には,次に示すところによるものとする。
1) 各教科・科目若しくは特別活動(知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校においては,各教科,道徳若しくは特別活動)の目標及び内容の一部又は各教科・科目若しくは総合的な学習の時間に替えて,自立活動を主として指導を行うことができること。この場合,実情に応じた授業時数を適切に定めるものとすること。
2) 校長は,各教科,科目若しくは特別活動(知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校においては,各教科,道徳若しくは特別活動)の目標及び内容の一部又は各教科,科目若しくは総合的な学習の時間に替えて自立活動を主として履修した者で,その成果がそれらの目標からみて満足できると認められるものについて,高等部の全課程の修了を認定するものとすること。

4.   障害のため通学して教育を受けることが困難な生徒に対して,教員を派遣して教育を行う場合については,次に示すところによるものとする。
1) 上記12の(1)若しくは(2)又は3の(1)に示すところによることができること。
2) 特に必要がある場合には,実情に応じた授業時数を適切に定めること。
3) 校長は,生徒の学習の成果に基づき,高等部の全課程の修了を認定することができること。

5.   療養中の生徒及び障害のため通学して教育を受けることが困難な生徒について,各教科・科目の一部を通信により教育を行う場合の1単位当たりの添削指導及び面接指導の回数等(知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校においては,通信により教育を行うこととなった各教科の一部の授業時数に相当する添削指導及び面接指導の回数等)については,実情に応じて適切に定めるものとする。

 

2節 知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校

1款 各学科に共通する各教科の目標及び内容

[国語]

1 目標
 生活に必要な国語についての理解を深め,伝え合う力を高めるとともに,それらを適切に活用する能力と態度を育てる。

2 内容
1段階
 (1)話の内容の要点を落とさないように聞き取る。(聞く・話す)
 (2)目的や場に応じて要点を落とさないように話す(聞く・話す)
 (3)いろいろな語句,文及び文章を正しく読み,内容を読み取る(読む)
 (4)手紙や日記などを目的に応じて正しく書く。(書く)
2段階
 (1)話し手の意図や気持ちを考えながら,話の内容を適切に聞き取る。(聞く・話す)
 (2)自分の立場や意図をはっきりさせながら,相手や目的,場に応じて適切に話す。(聞く・話す)                                                                      3)目的や意図などに応じて文章の概要や要点などを適切に読み取る。(読む)
 (4)相手や目的に応じていろいろな文章を適切に書く(書く)

[社会]

1 目標
 社会の様子,働きや移り変わりについての関心と理解を一層深め,社会生活に必要な能力と態度を育てる。

2 内容
1段階
 (1)相手や自分の立場を理解し,互いに協力して役割や責任を果たす。
 (2)社会や国にはいろいろなきまりがあることを知り,それらを適切に守る。
 (3)生活に関係の深い公共施設や公共物などの働きを理解し,それらを適切に利用する。
 (4)政治,経済,文化などの社会的事象や情報メディアなどに興味や関心をもち,生産,消費などの経済活動に関する基本的な事柄を理解する。
 (5)我が国のいろいろな地域の自然や生活の様子を理解し,社会の変化や伝統に関心をもつ。
 (6)外国の自然や人々の生活の様子,世界の出来事に関心をもつ。
2段階
 (1)個人と社会の関係が分かり,社会の一員としての自覚をもつ。
 (2)社会の慣習,生活に関係の深い法や制度を知り,必要に応じて生活に生かす。
 (3)公共施設や公共物などの働きについての理解を深め,それらを適切に利用する。
 (4)政治,経済,文化などの社会的事象や情報メディアなどに興味や関心を深め,生産,消費などの経済活動に関する事柄を理解する。
 (5)地図や各種の資料などを活用し,我が国のいろいろな地域の自然や生活の様子,社会の変化や伝統を知る。
 (6)各種の資料を活用し,外国の自然や人々の生活の様子,世界の出来事について知る。

[数学]

1 目標
 生活に必要な数量や図形などに関する理解を深め,それらを活用する能力と態度を育てる。

2 内容
1段階
 (1)日常生活に必要な数量の処理や計算をする。「数と計算」
 (2)長さ・重さなどの単位の関係が分かり,測定する。「量と測定」
 (3)図形を正しく作図したり,表やグラフを工夫して作ったりする。「図形と数量関係」
 (4)金銭や時計・暦などの正しい使い方が分かる。「実務」
2段階
 (1)生活に必要な数量の処理や計算をする。「数と計算」
 (2)長さ・重さ・量などの測定方法を理解し,活用する。「量と測定」
 (3)様々な図形,表やグラフを理解し,工夫して使う。「図形と数量関係」
 (4)生活に必要な金銭や時計・暦などを工夫して使う。「実務」

[理科]

1 目標
 自然の仕組みや働きなどについての理解を深め,科学的な見方や考え方を養うとともに,自然を大切にする態度を育てる。

2 内容
1段階
 (1)人の体の主なつくりや働きを理解する。
 (2)生物の特徴,その成長や活動の様子について理解し,生命の大切なことを知る。
 (3)生活に関係のある物質の性質や機械・器具の構造及び働きについて理解し,適切に取り扱う。
 (4)自然の事物・現象についての初歩的な理解を図るとともに,自然と生活との関係を理解する。
2段階
 (1)人の体の主なつくりや働きについての理解を深めるとともに,人の成長や環境とのかかわりについて関心をもつ。
 (2)生物とそれを取り巻く自然環境についての理解を深め,生命の大切なことを知る。
 (3)様々な物質の性質や機械・器具の種類,構造及び働きについて理解し,適切に取り扱う。
 (4)自然の事物・現象についての理解を図るとともに,自然と生活との関係について理解を深める。

[音楽]

1 目標
 表現及び鑑賞の能力を伸ばし,音楽活動への意欲を高めるとともに,生活を明るく楽しいものにする態度と習慣を育てる。

2 内容
1段階
 (1)いろいろな音楽をその美しさなどを感じ取りながら鑑賞する。
 (2)音楽を聴いて曲の特徴などを感じ取り,創造的に身体の動きで表現したりする。
 (3)打楽器や旋律楽器などに親しみ,その演奏の仕方に慣れ,気持ちを込めて合奏や独奏をする。
 (4)歌詞の内容を感じ取って,独唱,斉唱,簡単な合唱などをする。
2段階
 (1)いろいろな音楽をその美しさなどを味わいながら鑑賞する。
 (2)音楽を聴いて感じたイメージを創造的に身体表現する。
 (3)打楽器,旋律楽器などの演奏の仕方に慣れ,楽器の特色や音色を生かしながら合奏や独奏をする。
 (4)独唱,斉唱,二部合唱,オペレッタなどによる表現に慣れ,歌詞の内容や曲想などを味わいながら歌う。

[美術]

1 目標
 造形活動によって,表現及び鑑賞の能力を高め,豊かな情操を養う。

2 内容
1段階
 (1)経験や想像をもとに創造的に絵をかいたり,作品をつくったり,それらを飾ったりする。
 (2)いろいろな材料の性質や用具などの扱い方を理解し,工夫して使う。
 (3)自然や優れた造形品を鑑賞し,その美しさなどを味わう。
2段階
 (1)経験や想像をもとに,様々な技法などを用いて,創造的に絵をかいたり,作品をつくったり,それらを飾ったりする。
 (2)いろいろな材料の性質や用具などの扱い方を理解し,適切に使う。
 (3)自然や優れた造形品を鑑賞し,美しさなどを味わうとともに,地域の伝統工芸品に関心をもつ。

[保健体育]

1 目標
 適切な運動の経験や健康・安全についての理解を通して,心身の調和的発達を図り,明るく豊かな生活を営む態度と習慣を育てる。

2 内容
1段階
 (1)体つくり運動,いろいろなスポーツ,ダンスなどの運動をする。
 (2)きまりやいろいろなスポーツのルールなどを守り,友達と協力して安全に運動をする。
 (3)心身の発育・発達に関心をもち,生活に必要な健康・安全に関する事柄を理解する。
2段階
 (1)体つくり運動,いろいろなスポーツ,ダンスなどの運動を通して,体力や技能を高める。
 (2)きまりやいろいろなスポーツのルールなどを守り,友達と協力し,進んで安全に運動をする。
 (3)心身の発育・発達に応じた適切な行動や生活に必要な健康・安全に関する事柄の理解を深める。

[職業]

1 目標
 勤労の意義について理解するとともに,職業生活に必要な能力を高め,実践的な態度を育てる。

2 内容
1段階
 (1)働くことの意義を理解し,作業や実習に取り組み,働く喜びを味わう。
 (2)道具や機械の操作に慣れるとともに,材料や製品の扱い方を身に付け,安全や衛生に気を付けながら作業や実習をする。
 (3)自分の分担に責任をもち,他の者と協力して作業や実習をする。
 (4)適切な進路選択のために,いろいろな職業や職業生活について知る。
 (5)産業現場等における実習を通して,実際的な職業生活を経験する。
 (6)職業生活に必要な健康管理や余暇の有効な過ごし方が分かる。
 (7)職場で使われる機械やコンピュータ等の情報機器などの簡単な操作をする。
2段階
 (1)働くことの意義について理解を深め,積極的に作業や実習に取り組み,職場に必要な態度を身に付ける。
 (2)いろいろな道具や機械の仕組み,操作などを理解し,材料や製品の管理を適切に行い,安全や衛生に気を付けながら正確に効率よく作業や実習をする。
 (3)作業の工程全体を理解し,自分の分担に責任をもち,他の者と協力して作業や実習をする。
 (4)職業生活に必要な実際的な知識を深める。
 (5)産業現場等における実習を通して,職業生活に必要な事柄を理解する。
 (6)職業生活に必要な健康管理や余暇の計画的な過ごし方についての理解を深める。
 (7)職場で使われる機械やコンピュータ等の情報機器などの操作をする。

[家庭]

1 目標
 明るく豊かな家庭生活を営む上に必要な能力を高め,実践的な態度を育てる。

2 内容
1段階
 (1)家族がそれぞれの役割を果たしていることを理解し,楽しい家庭づくりのための自分の役割を果たす。
 (2)家庭生活における計画的な消費や余暇の有効な過ごし方が分かる。
 (3)家庭生活で使用する道具や器具などの正しい使い方が分かり,安全や衛生に気を付けながら実習をする。
 (4)被服,食物,住居などに関する実習を通して,実際的な知識と技能を習得する。
 (5)保育や家庭看護などに関心をもつ。
2段階
 (1)家庭の機能や家族の役割を理解し,楽しい家庭づくりのために積極的に役割を果たす。
 (2)家庭生活における計画的な消費や余暇の有効な過ごし方について理解を深める。
 (3)家庭生活で使用する道具や器具を効率的に使用し,安全や衛生に気を付けながら実習をする。
 (4)被服,食物,住居などに関する実習を通して,健康で安全な生活に必要な実際的な知識と技能を習得する。
 (5)保育や家庭看護などに関する基礎的な知識と技能を習得する。

[外国語]

1 目標
 外国語でコミュニケーションを図る基礎的な能力や態度を育てるとともに,外国語や外国への関心を深める。

2 内容
英語
1段階
 (1)簡単な英語を使って表現したり,やりとりしたりする。
 (2)簡単な語,句,文に興味や関心をもつ。
 (3)日常生活の中で見聞きする語や句の意味を知る。
2段階
 (1)初歩的な英語を使って簡単な会話をする。
 (2)簡単な語,句,文を書いたり読んだりする。
 (3)簡単な語,句,文の意味を知る。
その他の外国語
 その他の外国語の内容については,英語に準ずるものとする。

[情報]

1 目標
 コンピュータ等の情報機器の操作の習得を図り,生活に必要な情報を適切に活用する基礎的な能力や態度を育てる。

2 内容
1段階
 (1)日常生活の中で情報やコンピュータ等の情報機器が果たしている役割に関心をもつ。
 (2)コンピュータ等の情報機器に関心をもち,簡単な操作をする。
 (3)各種のソフトウェアに関心をもち,実習をする。
 (4)コンピュータ等の情報機器を利用した情報の収集,処理及び発信に関心をもつ。
 (5)情報の取扱いに関するきまりやマナーがあることを知る。
2段階
 (1)生活の中で情報やコンピュータ等の情報機器が果たしている役割を知り,それらの活用に関心をもつ。
 (2)コンピュータ等の情報機器の扱い方が分かり,操作する。
 (3)各種のソフトウェアの操作に慣れ,実習をする。
 (4)コンピュータ等の情報機器を利用した情報の収集,処理及び発信の方法が分かり,実際に活用する。
 (5)情報の取扱いに関するきまりやマナーを理解し,それらを守って実習する。

2款 主として専門学科において開設される各教科の目標及び内容

[家政]

1 目標
 家庭に関する基礎的・基本的な知識と技術の習得を図り,生活に関連する職業の意義と役割の理解を深めるとともに,生活に関連する職業に必要な能力と実践的な態度を育てる。

2 内容
 (1)生活に関連する職業についての興味・関心を深め,意欲的に実習をする。
 (2)生活に関連する職業において必要な基礎的・基本的な知識と技術を習得する。
 (3)生活に関連する職業で使用する各種の器具や機械,コンピュータ等の情報機器などの取扱いや保管・管理に必要な知識と技術を習得し,安全や衛生に気を付けながら実習をする。
 (4)次に示すような家庭に関する分野に必要な知識と技術を習得し,実際に活用する。

·         被服の製作

·         クリーニング

·         手芸

·         調理,製菓,食品

·         住居の管理,インテリア

·         保育,家庭看護

[農業]

1 目標
 農業に関する基礎的・基本的な知識と技術の習得を図り,農業の意義と役割の理解を深めるとともに,農業に関する職業に必要な能力と実践的な態度を育てる。

2 内容
 (1)農業についての興味・関心を高め,意欲的に実習をする。
 (2)農業に関する基礎的・基本的な知識と技術を習得する。
 (3)農機具や簡単な機械,コンピュータ等の情報機器などの取扱いや保管・管理に必要な知識と技術を習得し,安全や衛生に気を付けながら実習をする。
 (4)次に示すような農業に関する分野に必要な知識と技術を習得し,実際に活用する。

·         作物,野菜及び果樹の栽培

·         草花の栽培,花壇の管理

·         家畜の飼育

·         食品加工

[工業]

1 目標
 工業に関する基礎的・基本的な知識と技術の習得を図り,工業の意義と役割の理解を深めるとともに,工業に関する職業に必要な能力と実践的な態度を育てる。

2 内容
1)工業についての興味・関心を高め,意欲的に実習をする。
2)工業に関する基礎的・基本的な知識と技術を習得する。
3)各種の工具や機械,コンピュータ等の情報機器などの取扱いや保管・管理に必要な知識と技術を習得し,安全や衛生に気を付けながら実習をする。
4)次に示すような工業に関する分野に必要な知識と技術を習得し,実際に活用する。

·         木材,金属,セラミック,紙,布,皮革などの製品の製造

·         印刷

[流通・サービス]

1 目標
 流通やサービスに関する基礎的・基本的な知識と技術の習得を図り,それらの意義と役割の理解を深めるとともに,流通やサービスに関する職業に必要な能力と実践的な態度を育てる。

2 内容
1)流通やサービスについての興味・関心を高め,意欲的に実習をする。
2)流通やサービスに関する基礎的・基本的な知識と技術を習得する。
3)事務機器,機械や道具,コンピュータ等の情報機器などの取扱いや保管・管理に必要な知識と技術を習得し,安全や衛生に気を付けながら実習をする。
4)次に示すような流通やサービスに関する分野に必要な知識と技術を習得し,実際に活用する。

·         商品管理

·         販売

·         清掃

·         事務

 

[福祉]   新しい教科

1 目標
 社会福祉に関する基礎的・基本的な知識と技術の習得を図り,社会福祉の意義と役割の理解を深めるとともに,社会福祉に関する職業に必要な能力と実践的な態度を育てる。

2 内容
1)社会福祉についての興味・関心を高め,意欲的に実習をする。
2)社会福祉に関する基礎的・基本的な知識と技術を習得する。
3)福祉機器や用具,コンピュータ等の情報機器などの取扱いや保管・管理に必要な知識と技術を習得し,安全や衛生に気を付けながら実習をする。
4)次に示すような社会福祉に関する必要な分野の知識と技術を習得し,実際に活用する。

·         家事援助

·         介護

3款 指導計画の作成と各教科全体にわたる内容の取扱い

1.  指導計画の作成に当たっては,個々の生徒の知的障害の状態や経験等を考慮しながら,実際に指導する内容を選定し,配列して,具体的に指導内容を設定するものとする。

2.  個々の生徒の実態に即して,生活に結び付いた効果的な指導を行うとともに,生徒が見通しをもって,意欲的に学習活動に取り組むことができるよう配慮するものとする。

3.  「職業」及び「家庭」の指導計画の作成に当たっては,職業生活,家庭生活に必要な実際的な知識,技能及び態度の形成に重点を置いた指導が行われるよう配慮するものとする。

4.  「家政」,「農業」,「工業」,「流通・サービス」及び「福祉」の内容の取扱いについては,それぞれの教科の内容の(4)は,地域や学校の実態などを考慮して適切な内容を選択し,重点的に取り扱うものとする。

5.  生徒の実態に即して学習環境を整えるなど,安全に留意するものとする。

6.  実習を行うに当たっては,施設・設備の安全管理に配慮し,学習環境を整えるとともに,事故防止の指導を徹底し,安全と衛生に十分留意するものとする。

7.  家庭等との連携を図り,生徒が学習の成果を生かすことができるよう配慮するものとする。

8.  生徒の知的障害の状態や経験等に応じて,教材・教具や補助用具などを工夫するとともに,コンピュータ等の情報機器などを有効に活用し,指導の効果を高めるようにするものとする。

初等中等教育局特別支援教育課

 

以上からわかるように知的特別支援学校高等部各学科に共通する各教科の目標は一つで内容は2段階に分けられ、主として専門学科において開設される各教科の目標は一つで内容は1段階に分けているだけで、もちろん学年別ではないし、高等学校検定教科書を使っていない。

 以上から分かるように知的特別支援学校の学習内容が特別に編成された内容であるため、高等学校の学習内容とはまったく違っているため高等学校卒業に必要な74単位には含まれていない。それどころか必要な単位数すら明記されていない。総授業時数は,各学年とも1,050単位時間を標準とし(1単位時間は,50分として計算するものとするとあるがこれも標準であり1単位時間は各学校において適切に定めるとなっている)、各学年年間総授業時数だけが示されているだけである。また給食の時間等も自立活動等として授業時数に含むことができる。

 

まとめ

 

 教育制度論の教育体系から「障害学習体系」を中心に見てみると教育体系は3つの局面からとらえることができる。

 

⑴アーティキュレーション(接続)

   ライフ・ステージに応じた教育組織を順次活用していく学習者の統一的発達という観点からの下級教育段階と上級教育段階との結びつきのこと

⑵インテグレーション(統合)

   さまざまなライフ・スタイルを持つ個人が同一社会の構成員として共同生活するという観点からの結び付きのこと

⑶コンビネーション(結合)

   生活課題達成の力を養うという観点からの生活の中の教育と教育組織における教育とを結びつける結合のこと

 

 以上の観点の中で⑴のアーティキュレーション(接続)という観点からこの問題を見てみると制度的には特別支援学校高等部と上級教育段階(例えば大学や専門学校への進学等)への接続はできていると言える。しかし、知的障害以外の生徒は必要としない特別な手段を講じなければ知的特別支援学校高等部に関してだけが接続が断たれていると言える。これをどのように考えるか。特別な手段があるのだから接続ができているのか、知的以外の生徒は学校以外に特別に何かをするといったこともなく卒業すると自然と高等学校卒業資格と大学入学資格が得られることから知的特別支援学校は接続ができていないと考えるのか。

 私は憲法第26条、教育基本法第4条、障害者基本法第1条・16条、障害者の権利条約第7条・24条等から判断して接続ができていないと考える。

  このあたりのことが障がい者制度改革推進会議や障害者政策委員会においても十分に検討、認識されていないように思うし、教育に携わるわれわれも感心を持って「何かおかしい」と感じなければならないし、取り組んで行かねばならない重要な問題点でもある。

 

 

このレポートをまとめる上で何点かの疑問点が新たに生まれた。

 

その①「なぜ知的特別支援学校高等部だけに道徳の授業があるのか」

その②「学習指導要領でキャリア教育ということばが頻繁に登場していて小学部の児童から

取り入れる必要性がある」とあるがここで言うキャリア教育という意味やねらいが

何かを確認する必要がある。

 

 

 

2015年 キャンパス長まとめ